2024年11月8−9日に、第17回日中省エネルギー・環境総合フォーラムが東京で開催されました。日中両国の省エネ・環境分野における産官学民の合同プラットフォームとして、日中両国の産官学民の関係者の約650名が参加しました。

全体会議の開催挨拶において、武藤容治経済産業大臣は、日本は世界にむけて脱炭素・経済成長・エネルギー安全保障の3つを同時に実現することの重要性、多様なエネルギー技術を活用してネット・ゼロを達成する提案をしていることから、中国との協力は、日中両国のみならず、世界の脱炭素社会(カーボンニュートラル)の実現に大きく貢献するものであり、今回のフォーラムを通じてさらなる協力の契機となることを期待するとの挨拶を行いました。

浅尾慶一郎環境大臣は、日中両国は、過去の深刻な環境汚染問題の改善経験を共有しており、気候変動のグローバル課題に協力することが求められていると語りました。日本は、2050年までにネット・ゼロを目指し、2030年までに温室効果ガスを46%削減する目標を掲げており、自動車の電動化・スマート化、住宅・建築物の省エネ化、水素社会の推進などが進んでいることに言及し、日中両国の省エネ・環境分野の理解を深め、持続可能な未来に向けた協力関係を強化する貴重な機会となることに大きく期待しててると語りました。

中国の趙 辰昕国家発展改革委員会副主任は、中国の脱炭素社会の推進、汚染削減、グリーン化を推進し、中国式現代化のグリーンな基盤を厚くし、エコロジーの根幹を高めるために、生態文明の基本制度の整備、グリーン脱炭素発展の推進、資源節約戦略の実施、生態環境保護ガバナンスの強化などを言及しました。日中両国の緊密な国際環境協力が必要不可欠であり、グローバルグリーン脱炭素発展のための新技術、新モード、新トレンドに焦点を当てて、日中両国が共に協力していくことを強調しました。

朴 恵淑三重大学地域イノベーション学研究科客員教授・「三重GPN」代表幹事は、日本のサステイナブルキャンパス推進協議会(CAS-Net JAPAN)の代表理事として、中国のグリーンキャンパスエネルギー効率協会(CABEE)の譚Hongwei代表との日中の大学間連携の覚書調印式を行いました。

中国のグリーンキャンパスネットワーク(CGUN)は、2011年に設立され、キャンパスエネルギー効率協会(CABEE)の発展的展開を行なっています。日本のサステイナブルキャンパス推進協議会(CAS-Net JAPAN)は、2014年に設立され、日本の大学間連携を深め、2015年の国連持続可能な開発目標(SDGs)の制定に伴う2030年のSDGs目標達成に向けて、朴 恵淑三重大学地域イノベーション学研究科客員教授・「三重GPN」代表幹事が、CAS-Net JAPANの代表理事をつとめており、日本の大学間連携だけでなく、アジアの日本・中国・韓国・タイの200を超えるアジアの大学間連携(ASCN)を深めています。
特に、日中の大学間連携の覚書の目的と活動について、アジアおよび世界の環境・社会・経済の持続可能性を向上させるため、アジアの高等教育機関における持続可能なキャンパスへの取り組みの実施・強化を目指すことを明記し、具体的な活動として、次の5つの内容を掲げています。

(1)アジア年次会議の開催
(2)持続可能なキャンパスに関する経験と知識の交換と普及
(3)学生の持続可能なキャンパス活動への参加、学習の促進
(4)サステイナブルキャンパスの取り組みについて、世界中のネットワークと情報交換
(5)アジア諸国におけるサステイナブルキャンパスの推進に役立つと思われるイニシアティブの実施。

日本のサステイナブルキャンパス推進協議会(CAS-Net JAPAN)と中国のグリーンキャンパスエネルギー効率協会(CABEE)は、今回の覚書調印式を日中両国の大学間連携を深めるターニングポイントとして捉え、今後のさらなる発展的展開に向けて、本格的な取組を行うこととなります。SDGsの目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」の達成に向けて、産官学民の緊密な連携による「日中大学間連携モデル」の構築・運営に、全構成員の力を合わせて取り組むことが必要不可欠となります。